工数計算とは?簡単シミュレーションツールからエクセルテンプレートまで

目次

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「このプロジェクト、見積もりが甘かった‥‥」
「納期も予算も守れず、残業が続く‥‥」

納期遅延やコスト超過の原因は、経験と勘に頼ったどんぶり勘定であることも少なくありません。そこで工数計算シミュレーションから、すぐに使えるExcel・スプレッドシートのテンプレート、よくある失敗例と対策まで、正しい工数計算のノウハウを見ていきましょう。

工数計算シミュレーション

工数とは「人数×時間」で表される作業量のことで、「どれだけの人数」が「どれだけの時間」をかければ、その仕事が完了するかを示す指標です。そこで単価や開始日を入れるだけで、工数、費用、完了日を即座にシミュレーションできるようにしました。

1. 基本設定
時間
万円
%
2. 工数・費用計算
人月換算工数
人日換算工数
人時間換算工数
税抜費用
税込費用
3. 作業期間シミュレーション
週5日稼働の完了日
週7日稼働の完了日

※祝日は考慮されていません。あくまで目安としてご利用ください。

今すぐ使える工数計算Excelテンプレート

工数計算シミュレーションがExcelやスプレッドシートで簡単にできるテンプレートを用意しました。無料でダウンロードできて、すぐに使えます。

工数計算とは?かんたん解説

工数計算とは、プロジェクトを完了させるために必要な作業量を数値化し、必要な人員・時間・コストを算出する手法です。工数は一般的に「人月、人日、人時」という単位で表現され、例えば「3人日」は1人が3日間、または3人が1日で完了する作業量を意味します。

工数説明
人月(にんげつ)1人が1ヶ月稼働した場合に完了できる作業量。
人日(にんにち)1人が1日(標準労働時間は通常8時間)稼働した場合に完了できる作業量。
人時(にんじ)1人が1時間稼働した場合に完了できる作業量。
人工(にんく)建設業や製造業で使用される人日と同じ概念。

工数が「人数×時間」で算出されるため、2つの項目が決まれば、残りの1つを計算で求めることができます。

求めたい項目計算式
必要な工数人数×時間
必要な人数工数÷時間
必要な時間工数÷人数

全工数を正確に計算する3つの方法

1. 多岐にわたる工程を想定する

1つにプロジェクトにはさまざまな工程が存在し、各工程で必要な人数が異なります。全面リフォーム工事やコーポレートサイト制作の例を踏まえて、多岐にわたる工程を網羅しましょう。

戸建て住宅(延床面積100㎡程度)の全面リフォーム工事

工程作業内容想定工数(人工)必要職人
仮設工事足場設置・養生4とび職
解体工事内装解体・廃材処分12解体工
基礎補強基礎クラック補修・補強8左官職人
大工工事床・壁下地組み、造作24大工
電気工事配線・器具取付10電気工事士
設備工事給排水管更新・器具設置16配管工
内装工事クロス・床材張り18内装職人
塗装工事外壁・内部塗装14塗装工
バッファ追加工事の発生21全般
合計127人工

中規模(20ページ程度)のコーポレートサイト制作

工程作業内容想定工数(時間)担当者レベル
要件定義ヒアリング・要件整理16シニア
設計サイトマップ・ワイヤーフレーム作成24ミドル
デザイントップページデザイン32シニア
デザイン下層ページデザイン(19P)76ミドル
コーディングHTML/CSS実装80ジュニア〜ミドル
CMS構築WordPress設定・カスタマイズ40ミドル
テスト動作確認・修正24ジュニア
バッファ追加改修の対応58全般
合計292時間

2. 生産性や難易度を考慮する

全工数そのものを算出するときには、生産性や難易度、リスク係数にも配慮しましょう。

要素説明
生産性(パフォーマンス)単位時間あたりの作業遂行能力
難易(複雑性)作業の技術的難しさや要求スキルレベル
リスク係数不確実性や外部要因による影響度

例えば「生産性が1人あたり80%に下がる」場合は、1人月を20日ではなく「20日×80%=16日」で想定するケースもあります。「難易度が高く、工数が10%増える」場合は、1人月を「1人月×110%=1.1人月」としてします。

3. 実践的な計算式を取り入れる

次の2つの計算式を使う際の重要なポイントは、単純に数値を当てはめるのではなく、プロジェクトの特性に応じて適切な係数を選択することです。

トップダウン方式の計算式

総工数 = 類似プロジェクトの実績工数 × 規模調整係数 × 複雑度係数

過去の類似工事データがある場合は、このアプローチが最も信頼性が高くなります。類似工事と比べて、規模が変わるときは規模調整係数、複雑度が変わるときは複雑度係数で調整します。

ボトムアップ方式の計算式

総工数 = Σ(各タスクの作業時間 × 難易度 × リスク係数)

この方式では、タスクを最小単位まで分解し、それぞれに対して時間を積み上げていきます。難易度は通常1.0〜2.0の範囲で設定し、リスク係数は1.1〜1.3程度を目安とします。

工数計算でよくある3つのミスと対策

1. タスクの洗い出しが不十分

工数計算で最も頻繁に発生するミスは、タスクの洗い出し不足です。表面的に見える作業だけを計上しがちですが、例えば「浴室ユニットバスを交換する」という工事でも、実際には準備や調整といった付帯作業が発生します。

付帯作業時間
生作業・搬入経路確保3時間
既存浴室の解体・廃材搬出8時間
配管調整・防水下地処理6時間
ユニットバス組立・設置8時間
配管接続・電気工事4時間
コーキング・清掃・養生撤去3時間

このように分解すると、合計32時間(4人工)もの工数が必要となります。しかし、経験の浅い見積もり担当者は「ユニットバス交換2人工」といった甘い見積もりをしてしまいがちです。

2. 個人の技能レベル差を無視

メンバーの技能レベルの違いを無視した工数計算も、プロジェクト遅延の大きな要因となります。ベテランが3時間で完了する作業を、ジュニアが同じ時間で完了できると想定するのは現実的ではありません。

スキル差を適切に反映させるため、次のようなスキル係数表を作成し、活用することが効果的です。

スキルレベル経験年数目安スキル係数特徴
エキスパート7年以上0.7高難度タスクも独力で対応可能
シニア5-7年1.0標準的な作業速度の基準値
ミドル3-5年1.3一定の指導下で作業可能
ジュニア1-3年1.8詳細な指示とレビューが必要
新人1年未満2.5教育コストも含めた工数が必要

3. 予期せぬ手戻りや修正を軽視

「追加の変更なんてそうそう起きないだろう」という楽観的な見通しが、プロジェクトの炎上を招きます。実際のプロジェクトでは、初期見積もりの段階で想定していなかった手戻りが必ず発生します。

統計的に見ると、プロジェクトにおける手戻り・修正作業は、全体工数の15〜25%を占めることがわかっています。特に以下のような要因で手戻りが発生しやすくなります

これらのリスクに対応するため、段階的なバッファ設定をすることが重要です。初期フェーズには10%、中期フェーズには15%、後期フェーズには20%といった具合に、後工程になるほど大きめのバッファを設定しましょう。

工数計算を効率的にするツール

1. プロジェクト管理ツールを導入する

手作業での工数計算から脱却し、専門的な工数管理ツールを導入することで、プロジェクト管理の効率は劇的に改善されます。現在は単なる時間記録にとどまらず、AIを活用した予測機能や自動アラート機能を備えています。

ツール名月額費用(1ユーザー)主要機能適した組織規模
Redmine無料〜ガントチャート、チケット管理中〜大規模
Backlog2,970円〜Wiki、Git連携、バーンダウンチャート小〜中規模
Jira900円〜アジャイル開発支援、詳細なレポート機能中〜大規模
Asana1,475円〜タイムライン表示、自動化機能小〜中規模
Monday.com1,100円〜カスタマイズ性の高いダッシュボード全規模対応

2. 工数管理ができるSaaSを活用する

プロワン

プロワンは、建設・設備工事・リフォーム・ビルメンテナンス等の短・中期工事に特化した業務管理システムです。営業から施工・保守、請求・収支までの工程を1つのプラットフォームでつなぎ、現場起点のデータをリアルタイムに経営判断へ還元します。

中野貴利人

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